佐田岬ツアー またの名を 一人夏合宿
〜4日目〜
前回までのあらすじ
お遍路さんをしている人と駅寝したのだった…
駅寝をしたのは久しぶりだった。とりあえず風呂に入れてないので前に買ったボディタオルをフル活用した。朝になって起きる…。外は雨が降っているせいか、暗い。起きてからは迅速に米を炊き始める。駅に来たおじさんに俺たち2人が声をかけられていろいろと話した。お互いがどういう旅をしてるのかとかそういうのを話しながら米が炊けるのを待つ。本日もカンッペキなご飯を炊き上げておいしく食べた。レトルト卵スープをお遍路さんをしてる方にご接待した(笑)
6時過ぎくらいか、7時過ぎくらいかは忘れたけれど、そろそろ出掛けるということになって、記念写真を撮ってもらってから出掛けた。43番まで行っていて、44番・45番は久万町と美川村のほうであるということらしく、マジでびびった。遠すぎる。これが結構、難所で(急に遠いし、行く途中にあまり町がないから)あるらしく、ここを終わると数字的には半分でも2/3くらい終わったようなものらしい。愛媛県に詳しい人からすると、それも結構うなずけると思われる。旅先で出会ったのも何かの縁ということで連絡先を交換し、頑張ってくださいと言って、その人は旅立っていった。そちらも頑張って!!
それから俺も少しして走り出す。100メートルも走らない地点で足が痛いのがわかった。ああ、こりゃだめだ…。思わず輪行しようかと考えるが、あれほどのハングリーな人と出会った手前、足が少し痛いくらいで朝っぱらから輪行するのは情けないし、さっき頑張ってと言われたばかりじゃあないか!とりあえず、るるぶに載ってるレンガ館に行って記念撮影。まだ朝が早すぎて開いてない。駅から近すぎたしなぁ。シトシトと雨が降る中、走り出した。
ここで、本日の予定を考えていたのだが、あまりにも足が痛いので、目的地を無視してさっさと家に帰ることにした。さっさといいながらも、大洲から松山は60キロくらいある。スピードを落としてでも走って帰ったる!!と思って走った。
ちなみに本当に行きたかったのは金山出石寺であった。標高800メートルにある寺で、風景がバリバリ綺麗なのだ。4年前に行ってから行ってなかったので行きたかったのだが、仕方がない…。これが俺の中で本日の一番難易度の高いコースだった。次に難易度の高いコースは上尾峠を通る砥部町コース。次は犬寄峠を通る中山町コース。一番楽なのが、海岸線に抜けて走る双海コース。こちらは初日の道とピストンになるのであまり通りたくなかったが、足の痛みが激しかったので仕方がない。
肱川沿いに走った。かなり軽快なコースであるにも関わらず、足がビキンビキンと痛みを発する。本当に道端で止まってしまうくらい痛かった。なるべく片足で漕いだり、下り坂でできるだけブレーキを使わないようにして距離を稼ぐ。とにかくスピードの勢いを殺すわけにはいかなかった。伊予長浜のほうに出た。やっと海岸線である。休憩がしたくて駅で止まった。柔軟をしたり、マッサージをしたりしながら足の様子を見る。歩くのにはさして支障はない。問題は、ペダルを漕ぐ円運動にあるらしい。
そうこう考えていると、チャリダーのおっさんが駅に来た。スペシャライズドに乗ってた東京から来たおっさんだった。タバコをふかし、あまり荷物をもってなかったが、どうやら四国を一周しているようだった。ビジネスホテルをかなり使っているといっていた。雨が降るとビジネスホテルらしい。ということはここ数日はずっとビジネスホテルかい!?さらに四国一周といいながらも佐田岬は面倒でパスしたらしい。見所をパスしているので、よくわからない人だった。今日泊まるところについてアドバイスしたあとに俺が最初に走り出したが、足を痛めている俺よりも遅かった。
なんとか走るが、やはり足が痛い。しかし、海岸線はアップダウンも多いが、この道はどちらかというと走りやすい。片足走行でかなりの距離を稼いだ。そのかわり左足はパンパンになった。道の駅ふたみで休憩。俺がソフトクリームを食べてブラブラしているとスペシャのおっさんも到着したようだった。まあそれはともかくとして、走り出した。もう目指すは松山の自分の家である。頭の中には風呂と湿布と布団のことしかなかったのだ。
たかだか標高90メートルの銭尾峠がめちゃめちゃキツイ!!どこでもドアがほしいと切に願っている自分がいた。走りながら、踏み込んでも痛くならない足首の角度を探していた。少し不恰好になるが普通に漕ぐよりは痛くならない角度を見つけたのでそれで走りつづけた。ただ、変にペダリングの癖がつくのは嫌だ。早く家に到着せんのか!?しかし、その道を縮めることができるのは己の足のみ。その一足が家路へと続くのである。昼すぎくらいにボックスに到着。3日間風呂に入れませんでしたってノートに書いてから家に帰って風呂入って薬局にいって湿布買って、右足に貼って久しぶりの布団の嬉しさを感じながら眠りについたのだった。旅の楽しさはテント泊だったり、コッヘルで炊く飯だったりするけど、家に帰ってからの布団で寝るときの嬉しさを感じるのも旅の醍醐味であろうと思う。これにて、佐田岬ツアー記を締めくくろう。一夏のいい思い出になったぜ…。