お遍路さんを始めるぞ!〜2日目〜
斜めのところにテントを立てたものだから、なんだか寝てると下にズルズルと下がっていった。起きたときによじ登りを繰り返した。寝袋に入りつつも、熱がこもりすぎて暑くて寝られなかったので、足側のファスナーを開けて寝ていたのだが、夜中に寒くなって起きたので途中でファスナーを締めて寝た。久しぶりの野宿に寝たり起きたりを繰り返した。ようやっと深い眠りになったところだった。いきなり4時ごろにテントの周りで人が歩く気配が…。するとテントの外から声をかける人が。公園の管理者だとマズイなと思って反応したら、酒飲みませんか?っていう若者だった(声のみ。姿は見ていない)。4時から酒飲むかよ!と思いながら、お酒は飲めないと丁重に断ったが、話が聞きたいといわれて少し話をした。どこに行くのか、などなど。お遍路さんを始めるために徳島にいくことを言うと、驚かれた。まあ昨日もコンビニとかで話しかけられたときにそう答えると「えっ、これ(BD-1)で!!」でいう反応をされたけれど。こちらとしても、BD-1のようなミニベロでツアーをして驚かれるのがけっこう快感だったりする。それはおいといて。俺がテントから出なかったので、姿は見ないまま、彼の友人が来たようで彼は帰っていった。
とにもかくにも、彼の登場によって起こされた俺は、寝られなくなった。なんつってももう5時前だから。寝たら8時までとか寝てしまいそうだったから、もう起きることにした。テントの画像を撮ってなかったので、ついでに朝の写真を撮ってみた。家に帰ってから気付いたが、シューズの反射材がめちゃ光ってる!!このあとテントを畳んだが、朝露がけっこうすごかった。
荷物を整えて6時ごろに三島公園を出発。麓のサンクスで朝食。それから一路、境目トンネルを目指す!走っていてブレーキをかけると後輪がやけにズリズリと横滑りした。『おかしいな…、ブレーキで後輪をロックしたときでも横滑りはするがズリズリという感じじゃなくてズザーッて一気に横滑りするのだが。変だな…。』と思いながら走っていたら、急激に速度が落ちるようになったので、パンクか?と思って後輪に触れてみたらブヨブヨだった。
まだ7時である。今すぐパンクを直せばすぐに出掛けられると判断して、道端で修理にとりかかった。…が、インフレーターを使ってもなぜか新しいチューブに空気が入らない。何度やっても入らない。よく見ると、インフレーターが壊れていることに気付いた。途方にくれてしまった…。『2日目にしてツアー終了か…。マジかよ。お遍路さん始めてないんだぜ!』と、ガックリしていたら、近所のおじさんが声をかけてくれた。近くに自転車屋さんはないかと伺ったら、自転車屋さんまで送ってあげると言ってくださって、軽トラで迎えにきてくれた。この旅で初の、人の親切に触れた瞬間であった。移動中に雨が滝のように降り出した。GWツアー中は天気がよいはずだったのだが、どうも崩れてきたようだ。自転車屋さんの軒先にBD-1を置いてもらって、お礼を言っておじさんと別れた。
土砂降りの中、自転車屋さんが開くのを待つ。しかし、7時半だ…。いつになったら開くのやら。運がよければ8時半くらいには開くかなぁ…と思いながら待っていると、朝早かったのと、4時に起こされたもんだから寝不足だったので、ウツラウツラしてきた。軒先で体育座りしながらうたた寝を繰り返していた。外は雨がきつくなったり、小雨になったりを繰り返していた。2時間半待ち続け、10時に自転車屋さんに到着した運送業者の人に、いつ開くのか聞いたところ、10時だと言われた。ん?あれ?10時っすよ?10時10分くらいに車でお店の方が来て、やっと開店。お店はママチャリ中心とバイクの店でした。空気入れを借りて、チューブを交換。しかし、このお店にはインフレーターは売ってなかった。なので、またパンクしたらその瞬間、ツアーが終了してしまう…。『インフレーターとか売ってる専門的なお店は、香川の観音寺に行かないとたぶんない』ということだった。観音寺競輪があるかららしい。とりあえず、雨も降っているし、国道11号線をメインに走ることにした。
とりあえず、四国中央市の食堂で昼飯。大衆食堂のようなところでガッツリと食べた。その間に雨もだいぶおさまってきた。パンクしたら終了という恐怖を胸に抱きながら、観音寺を目指す。もし観音寺になくても、高松にいけばどうにかなるだろうという予測のもと、11号を走る。しかしこのままでは今日は朝からパンク、修理不可でいいとこなしで終わってしまうと思ったので、観音寺の銭形を見に行くことにした。観音寺の銭形は、銭形平次のオープニングで使われているやつで、かなりでかい!しかも高いところから見下ろすようになっているため、琴弾(ことひき)公園の展望台まで上らなければならない。ローギアにしてシャカシャカと頑張って上った。いつのまにか天気もよくなっていた。
銭形を見に多くの人が来てた。中国から来てた団体がいたようで、何を話してるのかはサッパリわからなかったが、激しく喋っていた。写真を撮るのを頼まれたり、逆に頼んだりして、いい絵を撮ったのだった。
観音寺の銭形の近くには、88箇所のお寺が2つあるのだが、まだお遍路スタートしてなかったので、残念ながら行かなかった。なので、また来るときは銭形をもう一度見に来るだろう。展望台から下っていると、またもや後輪がズルズルしだした。まさか…!と思って触ってみると、ブニブニになっていた…。なんでやねん!?しかし焦ってもとりあえず観音寺には着いているので、歩いて探せるだろうと割り切って、楽しむことにして世界のコイン館があったので寄っていった。銭形があることから、世界中のコインを集めたのだそうだ。コインだけでなく、紙幣もあった。重さが1キロもある金貨とかあった。持ち歩きたくねー!!
その後、お風呂に行きたくて、でかい看板に誘われてフラフラと琴弾回廊という大きな温泉施設へ。もうタイヤが終わっている。しかし汗は流したい。受付に行ってお風呂の値段を聞くと、なんと950円!!たっかー!!しかし値段を聞いておいて、じゃあやめますとはいいだせず、入ることにした。高いだけあって、いろんなお風呂があって、すごく気持ちよかった。しかし、2日間の日焼けで腕を湯船につけるとヒリヒリと沁みて、肩からドッブリと浸かることができなかった。うーん残念!
風呂上りにベランダに出て、海を眺めながらしばらくボーッと過ごした。さて、これから自転車を直しにいかなければ…。多少気持ちが重い。果たしてうまい具合に自転車屋が見つかるのだろうか?
歩いて駅の近くを目指していくと、ママチャリ屋さんが。もうとりあえず、チューブを替えたのにパンクしたからパンクの原因を突き止めるだけでもできたら今度は高松まで走るかなーと思っていったら、すごくアバウトなチャリ屋で参った。『(フレンチバルブの)空気を止めるネジの締めが甘かったんじゃないの?空気パンパンにいれといたから、これで明日もなくなってたらなんかトラブルあるね』だってさ。そんなことはもうわかってんだよ!パンクは明白なんだよ!でもインフレーターがないから原因追求できないんだよ!!空気を入れてもらえたのは助かったが、タイヤを外すこともなく、終わられてしまって参った。インフレーターはもちろん売ってない。そういう専門的なお店はないかと言われたら、すこし行ったところに専門的な自転車屋さんがあるから、そこならあるかもと言われた。その情報さえあればこっちのものだ〜!と思って一路走る。
○○自転車店というお店を探す。ないないない…。あった!て、エッ、このお店?という感じだった。なんせ、工務店のような店構え。中に入ると、ロードが数台と、床に工具がゴロゴロと…。そしておじいさんが出てきた。どんなおじいさんかというと、グラップラー刃牙の渋川さんのような。インフレーターないですか?って聞いたら、ロード用の長いタイプしかないと言われた。しかし、あった!!ようやく見つけた!自転車に付けるところはないが、なんとか後ろの荷物に付ければいいと思って、買います!!と即決。やっと…、と思ってるとおじいさんが『ちょっと待ってね〜』といいながら色んなカタログをパラパラとめくりだす。まさか、値段がわからんのでは?ついに今月のサイスポをパラパラとめくりだす。それをパタッと閉じて、一言。
『千円でいいよ』
えーっ!!いいんすか?って聞いたら
『どうせ最後の一本だしね。たぶん2千円くらいすると思うけど、千円でいいよ』
とのこと。運にも恵まれ、さらに値引きまでしてもらって、ありがたやありがたや!さて、もう夕方である。次はご飯と泊まるところを探さなければ。B-PALのお遍路本の中に書いてある野宿ポイントを目指すことに。さらにその本に書いてあるうどん屋さん『かなくま餅』に行った(家に戻ってから気付いたのだけど、どうも本に載っていたお店ではなかった。国道11号沿いの『かなくま餅』さんです。うどんの本とネットには載ってた)18時閉店と早いんだけれど、17時55分に滑り込みで入れた。餅屋さんが始めたうどんで、お餅が入った力うどんが絶品らしいので頼んでみたら、もうマジでうまかった!うどんのダシとお餅がこれほど合うとはね〜!しかも、お店を出てから出発するためにヘルメットをかぶってると、お店のお姉さんが出てきて、赤飯のおにぎりといよかん1つをくれた。めっちゃ嬉しかったです!
その後、笠田小学校の裏にあるため池のところにある東屋(あずまや)を目指した。現地に来てみると、たくさんの鳥がいてギャアギャアと鳴いていた。俺が東屋に近付くと飛び立ち、周囲を旋回する鳥達。怖くなったのでサッサとテントを立てて寝ようとした。しかし風が強く、フライシートのファスナーがアスファルトに擦ってジャラジャラとうるさくて眠れなかった。我慢できなくなってフライシートを取ったらようやく静かになったが、テント内に風が入るようになって寒くて逆に眠れなかった。上着を重ね着して、寝袋の隙間をなるべく減らして、ようやく寝ることができた。